小倉ヒラクの「発酵トラベルノート ~旅と醸しのおたのしみ~」

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【第27回】胃弱ボーイズ&ガールズに朗報!「フランスの外食重たすぎ問題」攻略法

ヒラク
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小倉ヒラク
発酵デザイナー
「見えない発酵菌たちのはたらきを、デザインを通して見えるようにする」ことを目指し、東京農業大学の醸造学科研究生として発酵を学びつつ、全国各地の醸造家たちと商品開発や絵本・アニメの制作やワークショップをおこなっている。『てまえみそのうた』でグッドデザイン賞2014受賞。自由大学や桜美林大学等の一般向け講座で、発酵学の講師も務めている。2015年より新作絵本『おうちでかんたんこうじづくり』とともに、「こうじづくり講座」を全国で展開中。著書『発酵文化人類学 微生物から見た社会のカタチ』(木楽舎)が絶賛発売中!

味噌汁飲んでますか?発酵デザイナーの小倉ヒラクです。

ついこのあいだまでフランス・リヨンに行っておりました。リヨンと言えばフランス随一の美食の都。滞在中、あちこちのお店で食べ歩きを楽しむぞ!とウキウキしながら行ったわけですが…

 

フフフ、フランスの外食、重たすぎ〜!!!!

 

ただでさえ少食の日本民族のなかでもさらに胃腸弱すぎの不肖ヒラク。味の良し悪しの前にその圧倒的な物量に打ちのめされてしまうわけさ。

僕のような「胃弱ボーイズ&ガールズ」にとって、フランスの食は消化にかける負荷がマッシブすぎて震える…!

そこで今回は、一応フランスに住んでいたことのある発酵デザイナーによる「胃腸に優しいフランスの外食の楽しみ方ガイド」をお届けします。

 

On y va(それでは行ってみよう)!

 

 

朝はクロワッサンとプチコーヒーでミニマムスタート!

まずは朝ごはんから。フランスには24時間空いているフランチャイズ系のレストランはほぼ皆無なため、朝の選択肢は街場のカフェ一択になります。
全体的に朝が遅めのフランスにおいて、カフェは朝7時くらいから空いています(あとパン屋さんも朝早い)。

 

そこで寒くない時期ならテラスとかに座って優雅に食べたいところですが、間違ってもホテルの朝食セットみたいなのは注文しないで下さい。山盛りのパンにオムレツにハムにチーズにヨーグルトにフルーツに…といっぱい出てきます。

 

洋食の朝ごはんの代名詞、イングリッシュ・ブレックファスト(ソーセージとかベイクドビーンズなんかが山盛りの茶色くて重たいイギリス風朝ごはんセット)に対して、フランス式はコンチネンタル(大陸風)・ブレックファストと呼ばれます。

 

「お昼とか夜に美味しいものいっぱい食べるから朝は軽めにすましちゃうよ〜」

 

的な位置づけの朝ごはんセットのはずですが、胃弱ボーイ日本代表のヒラクからすると絶望的なまでに多い!重たい!!胃腸が泣く!!!

 

そこで、カフェの人に「エクスプレスセットおくれ」とオーダーしましょう。

これは、クロワッサン1個とエスプレッソカップに入ったプチコーヒー、場合によってはそこにオレンジジュースがつく超ミニマム朝ごはんセット。だいたい300〜400円くらいの気軽な値段でオーダーできます。

 

プレーンなクロワッサンと普通のエスプレッソでももちろんナイスですが、よりフランスらしさを重視したいならばチョコクロワッサンと、ノワゼットと呼ばれるエスプレッソに少量のミルクを足したカフェマキアートのようなコーヒーにアレンジしましょう。

 

フランスの朝ごはんと言えば「甘いものづくし」が定番。パンも菓子パンで、ノワゼットやカフェオレに大量の砂糖を投入し、ヨーグルトにフルーツジャムを惜しみなくかけて1日のエネルギーをチャージします。

 

ハムとかチーズとかも美味しいんだけど、それ食べ始めるとパンおかわりしちゃって必然的に炭水化物過剰!胃腸が泣く〜!!

 

 

昼はサラダかサンドイッチで軽やかに!

最初に言っておくと、フランスの外食においてランチが1番お得です。夜の半額以下でコースが食べられるからね!

 

「何ですと〜!それじゃあお昼はフルコースキメるしかなーい!」

 

と気合入るじゃないですか。
しかし全国の胃弱ボーイズ&ガールズよ、早まるではない!ここでコースをキメてしまうと、お主たちにディナーは無いのじゃ!

 

例えば試しに前菜スープ+主菜牛肉のステーキ+デザートとか頼んでみなよ。

スープは牛丼並盛りのどんぶり1杯分、メインは300gの肉塊とポテトXL、デザートはティラミスとアイスとチョコクッキーの盛り合わせみたいなのが運ばれてくるよ?それ食べてさらにディナーとか食べれる?無理だよね?無茶だよね?無謀だよね〜!?

 

ということで、胃弱ボーイズ&ガールズにオススメしたいのは

 

  • サラダ単品
  • サンドイッチ単品

 

のどちらか。

若い女性がいるような気の利いたカフェやブラッスリー(敷居低い居酒屋レストラン)なら単品用サラダのメニューが用意されています。この単品サラダ、鶏肉やベーコン、クルトンやチーズ、ゆで卵なんかがいっぱい入っていてけっこう食べ応えがあります。これとつけ合わせのパンを食べるともうお腹いっぱいになります。一度S・M・Lからサイズを選べるカフェを見つけて、

 

「サラダSサイズくだされ」

 

と店員さんに注文したら、

 

「よろしいでござるか?マジで小さいでござるよ?」

 

と念押しされて運ばれてきたのが、ラーメンどんぶりサイズの器に山と盛られた肉とチーズたっぷりのシーザーサラダでござったよ。ニンニン!

 

せっかくフランス来たし、がっつりパン食べてえなあ!という人はサンドイッチがオススメです。お惣菜デリのお店でハムとチーズのサンドイッチとペリエなんかをゲットし、テラスで街行くフレンチピーポーを眺めながらパンをかじるのもなかなか乙なもんですよ。

 

ちなみに僕のフェーバリット昼食は「バイン・ミー」と呼ばれるベトナム風サンドイッチでした。

 

【第17回】パリの移民街で食べるベトナミアン・サンドイッチ「バイン・ミー」 の風情

 

 

昼は複数人でオードブルをシェアするべし!

いよいよ本命のディナー。ステーキとかチーズ食べたいし、ワイン飲みたいし、食後のデザート別腹いただきま〜す!と夢膨らみますが、

 

すいません、コースは頼まないでください。

 

日本民族のなかでも胃腸能力弱めの我々にとって、夜のコースディナーをがっつり食べるということは「冬の八ヶ岳をサンダルで登る」レベルの無理ゲーであることを認識してください。

 

昼よりも値段が高いぶん、さらに激重なブツが、さらに多量にやってきます。とりわけメインに肉料理を頼むとハードコアです。厚さ3cmくらいある肉塊にポテトXXLがデカい皿に盛られて出てきます。

 

炭水化物と動物性脂肪に奥手すぎる胃弱ボーイズ&ガールズにとって、これを完食することは30年間彼氏ナシのシャイな女子の初デートがいきなり永山絢斗!レベルのミッション・インポッシブル感があるのよ。何も言えず、ただうつむくだけ…みたいな感じになってしまうわ。切ないわ…!

 

とにかくフレンチディナーフルコースという険しい山に単独登頂を挑むのは無理がありすぎる。そこでオススメしたいのはチーム戦なのであるよ。

 

街場のフレンドリーなビストロ(居酒屋寄りのレストラン)やカフェなら、前菜に「シェア用オードブル」のメニューが用意してあります。生ハムやソーセージ、チーズなどの盛り合わせや、切り分けやすいキッシュやタルト、ムール貝のワイン蒸しなどがよく見かけるメニュー。複数人でこういうのをシェアすると「色んな食べ物をちょっとずつ食べる」という日本の居酒屋的な楽しみかたができます。

 

シェアする前提なら2人でメインを1皿頼むのもアリです。この時ポイントなのがつけ合わせがフライドポテトじゃないメニューを頼むこと。肉料理だと80%の高確率で大量のポテトが付属してきますが、魚やベジタリアンメニューだと季節の蒸し野菜とかラタトゥイユとか、わりと胃腸に優しめのつけ合わせがチョイスできます(量は多いけど)。

 

「そんなお行儀悪い頼み方、ミーはできないざんす!」

 

その気持ちもわかる。フランスでの外食の基本は「ひとり1コース」のオーダーが基本。前菜シェア祭りなんぞやった日には「マナーを知らない外国人が来たな…」と白い目で見られるかもしれませんが、背に腹は変えられない、ていうかワシはマナーより胃腸が大事なのだ!これでいいのだ!

 

どうしてもコースを堪能してぇという方は、ミシュランで星がついているようなちゃんとしたレストランに行ってください。街場のビストロやカフェは前菜+メイン+デザートの3皿ですが、こういうとこは小さな皿がいくつも出てきます。炭水化物系(パンとかポテトとか)を律儀に全部食べなければ、なんとか完食することができなくもない(お店のグレードが上がるほど量が上品になる傾向があります)。要は日本におけるフレンチレストランみたいなところへ行けばいいわけだ。

 

そんなにリッチじゃない!けどどうしても1人で街場の店でディナーをしなければいけない!という胃弱なアナタは、メインの1皿(つけ合わせがポテトじゃないヤツ)だけ頼んでください。これとパンだけでマックスお腹いっぱいになるよ。

 

 

外食は重たい…、ならば公園で食べよう!

最後にフランスっぽい食事の楽しみかたをお教えしよう。

初夏から秋にかけての長い夕暮れの時間(9時くらいまで明るい)、パン屋さんでバゲット、スーパーでチーズやワイン、ハムや簡単なお惣菜を買って公園の芝生で夕陽を浴びながら仲良しの誰かと食べるのさ。

 

これなら安いし、自分の好きな量だけ食べられる。しかもチーズやワイン、パンなどフランスならではの食材(全部発酵してる!)のハイクオリティをシンプルに堪能できる。

 

「ねえ、人生で美しいものって…何だと思う?」

 

なんて夕陽を眺めながら哲学っぽいことをワイングラス傾けながらおしゃべりできるといいよね。永山絢斗似のイケメン(or瑛太似のイケメン)とさ!

 

それではごきげんよう。

 

【解説】

ちょっとわかりにくいフランスの飲食店の呼び方と楽しみ方を解説!

◆カフェ:お茶するのがメインで軽い食事やお酒も楽しめる。1日中空いてます

◆ビストロ:居酒屋寄りのカフェ食堂。ワイン飲みながら楽しむのにピッタリ

◆ブラッスリー:お酒も楽しめるカジュアルレストラン。カフェとレストランの中間くらいのグレード

◆レストラン:日本で言うとこのフレンチレストラン。格式高いとこだとTシャツで行くと恥ずかしい!

※カフェ/ビストロ/ブラッスリーの定義はわりとあいまい。カフェより食事がちゃんとしてる小さい食堂がビストロ、ビストロより大きな食堂がブラッスリー、という感じだけど、やたら食事がしっかりしているカフェとか、小さいブラッスリーとかもあります。

 

◆デリ:お惣菜屋さん。ちっちゃい席がついていて、簡易飲食店としても使えます

◆サロン・ド・テ:お茶しながらケーキ食べて…という日本でいうとこのカフェ