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【第6回】茶のルーツは中国にあり!発酵茶の奥深き世界を覗いてみる

味噌汁飲んでますか?発酵デザイナーの小倉ヒラクです。

世の中ニューウェーブなコーヒーブームですが、僕はお茶派です。

 

20代の頃は、朝起きたら眠い目こすってコーヒーを淹れて「ああ、今日もハードワークな一日が始まるぜ」なんて薄目開けて窓の外をニヒルに眺めていたものですが、だんだんお茶の「じんわり暖まる感」がよくなってくる。

 

でね。ここでちょっと言っておきたいのが、発酵茶がヤバいということなんですね。僕のフェイバリットは、スタンダードな緑茶ではなく、茶色く発酵したお茶なのさ。

 

ということで、今回は発酵茶のかぐわしき世界を案内しましょう。

 

 

中国で洗礼を受けた、発酵しまくりのヴィンテージ茶

20代の中頃から後半にかけて、僕は発酵や漢方の世界のルーツを求めてよく中国に足を運んでおりました。
そこで最も衝撃を受けたものの一つが、お茶だったのですね。

 

場所は、中国西南部。そこの名産である「プーアル茶」の30年もののヴィンテージを飲んだ時のこと。何気なく茶店の店主に振る舞われて飲んだ瞬間、身体中の毛穴から汗が吹き出し、目がカッと覚醒し、第三の眼チャクラがくわッ!!と開いて宇宙と一体化し、全ての事物は仮象であり世界の本質は愛と慈しみと平穏だとか言っている割には世の中恨み・妬み・そねみ及びこじらせが蔓延しているのは Why Brother? 的な悟りを得た俺は、256倍速で店主の胸ぐらを掴んで「今すぐこのヤバすぎるブツを売れ!さもなければこの世界は永遠に漆黒の闇に包まれるし、何なら土下座してもいい」と言って土下座したら、軽くiPod nano(2が買える程度の値段を提示されてビックリしたね。ズギャ!!

 

さて。

僕がこの時、持ち金全部突っ込んでゲットしたヴィンテージプーアル茶は、発酵茶というカテゴリーなのでした。

 

 

発酵茶の2つのカテゴリー

中国に明るい人ならわかると思いますが、中国茶ってのはめちゃ奥が深い。

日本とは比べものにならないほどの多様なカテゴリーがそこには存在しているわけさ。

 

その中でも発酵デザイナーが興味を持ったのはやはり発酵茶。
この発酵茶も大きく分けると二種類に別れます。「発酵」という概念を理解するためにも良い機会だと思うので、簡単に解説しておくぜ。

 

茶葉酵素による発酵:

茶葉に元から含まれている酵素の力で、お茶の香りや味の深みを引き出したもの。烏龍茶がこの代表格。比較的短期間(数ヶ月〜)の熟成を経てつくられるものが多い。微発酵とか弱発酵と言われたりします。

微生物による発酵:
茶葉に主にカビ類などの発酵菌をつけて発酵させたお茶。茶葉の味自体が変質し、独特の風味が加味されます。基本的に長期間(数年〜)の熟成を経てつくられるものがほとんどで、数十年というものも珍しくない。

 

発酵というと一般的には微生物による酵素作用を指しますが、植物にも微生物のような酵素作用があり、それを利用した加工技術の例が中国茶や漆だったりするのです(漆についてもそのうち取り上げてみたい)。

 

微生物による発酵茶、プーアル茶の他に、台湾でプキ茶と呼ばれる、クモノスカビで発酵させた薬茶も飲みました(日本語で資料が見つからないのですが、誰か詳しい人情報プリーズ!)。他にもチベット等の高山地帯に、レンガのように茶葉を固めて発酵させたものを家畜の乳に溶かして飲むお茶があります(←あんまり美味しくない)。

 

 

日本にもあったぞ、驚きの発酵茶!

ほとんど知られていませんが、実は日本にも発酵茶の文化があります。

代表的なのは高知の碁石茶(ごいし茶)。大豊町(おおとよちょう)という小さな町で伝承されてきた不思議すぎるお茶です。さしもの発酵デザイナーも、はじめて飲んだときはビックリ仰天したね!

 

碁石茶の特徴は、二種類の発酵菌のバトンリレーにあります。

まず茶葉にコウジカビの一種をつけ、このカビの酵素によって茶葉の固い細胞壁を壊します。そして壁の内側から漏れ出てきた茶葉の栄養分に今度は乳酸菌をつけ、旨味や酸味をプラスしていきます。

 

でね。飲んでビックリ、発酵茶のクセに、爽やかじゃねぇか!
プーアル茶系の発酵茶、僕は嫌いじゃないんだけど日本の食卓には好まれない。香りがスモーキーすぎて、味が渋くて深すぎる。ほとんどクスリなわけです。

 

ところが碁石茶。乳酸菌のつくる酸味が全体の雰囲気をタイトにまとめていて、軽やかな仕上がりになっている。これなら発酵でキラキラ美人になりたい!と願うオシャレガールも飲めそうだ(何というか、日本というのは何ごとも軽やかにオシャレにしたいお国柄なのでしょうか)。

 

これから発酵茶ムーブメントが起きる!と勝手な予言をしたところで、今回はおしまい。それではごきげんよう。

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