小倉ヒラクの「発酵トラベルノート ~旅と醸しのおたのしみ~」

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【第13回】博多は麺類パラダイス!朝昼晩と3食麺を食べるぞガイド

博多のラーメン
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小倉ヒラク
発酵デザイナー
「見えない発酵菌たちのはたらきを、デザインを通して見えるようにする」ことを目指し、東京農業大学の醸造学科研究生として発酵を学びつつ、全国各地の醸造家たちと商品開発や絵本・アニメの制作やワークショップをおこなっている。『てまえみそのうた』でグッドデザイン賞2014受賞。自由大学や桜美林大学等の一般向け講座で、発酵学の講師も務めている。2015年より新作絵本『おうちでかんたんこうじづくり』とともに、「こうじづくり講座」を全国で展開中。著書『発酵文化人類学 微生物から見た社会のカタチ』(木楽舎)が絶賛発売中!

 味噌汁飲んでますか?発酵デザイナーの小倉ヒラクです。

 

前回に引き続き、麺類の話。

僕、ここ最近ずっと仕事で福岡・博多に通っています。で、ここに来るといつも麺類が食べたくなるんだな。東京や京都・大阪とも違うユニークな麺文化が博多にはあるんちゃね(←博多弁)。

 

ということで、今回は皆さまが博多に遊びに行った時に役立つ「朝昼晩3食ぜんぶ麺でキメるガイド」をお届けします。

 

▶朝は「やわらかいうどん feat.ごぼ天」でChill(ほっこり)!

朝イチの飛行機/新幹線/バスで博多に着いたらば、まずは速攻でうどん屋さんに行きましょう。

 

「うどん…だとッ…!? 関西でも香川でもないのに?」

 

うん。博多のうどんって面白いんだ。

一般的に、うどんの価値って「麺のコシ」で決まるじゃん。でも、博多のうどんって全くコシがなくて。どう考えても茹でてる間に手回しミルでコーヒー豆挽いて丁寧にドリップしたコーヒーをすすりながらyoutubeでハリネズミの赤ちゃん動画見てほっこり癒やされましたが何か?的に壮絶な柔らかさなんだよね。

 

つゆは、関西的なダシを取り、関東的なしょうゆ味でシメたハイブリッド製法。付け合せは、西のきつね油揚げでも東のかき揚げでもなく、ごぼ天(ゴボウの天ぷら)。

 

この不思議なコンビネーション、一見不釣り合いに見えるが何度か食べるうちにだんだんハマってくる

「だらしない色気」を持っている微妙なイケメン(インディーズバンドのベーシストとか)に妙にハマるバンギャルの気分をシミュレートできる味なのであるよ。

 

ちなみに僕はこの「ごぼ天うどん」を食すために、朝に空港に着くようにして博多駅の地下に直行している。これ「博多に来たばい」というモードになるための儀式なり。

 

 

▶昼は「ちゃんぽん feat.生卵」でup↑up↑(アゲ)!

 

博多でよく見かけるのがちゃんぽん屋さん。

長崎発祥のちゃんぽん文化は、佐賀〜福岡の北九州エリアではメジャーな麺類。

 

個人的にはお昼に食べるのが一番好きです。

いい感じにくたびれたお店ののれんをくぐったら、「ちゃんぽん生卵付きで!」とオーダーしましょう。

 

「ちゃんぽんに…生卵だとッ…!?邪道ォォォ!!」

 

落ち着きなさい、長崎の民よ。

大盛り野菜の上にぶっかける生卵のヌルヌルパラダイスを知らぬまま生涯を終えんとする者の言葉に耳を傾ける必要はない。「美味い」こそ正義

※ちなみに生卵のトッピングのない博多のちゃんぽん屋さんもいっぱいあります

 

あ、あと余談ですが長崎ちゃんぽんは元々中国中南部のラーメンをお手本にしてつくられた料理。ちゃんぽんは「混ぜこぜにする」という意味で、大陸の麺類を日本風にアレンジしたものなんですね(ちなみに沖縄の「ゴーヤチャンプルー」やインドネシアの「ナシチャンプル」なども同じような語源と言われています)。

 

ダシは鶏ガラや豚骨。醤油は使わないのであっさりめの豚骨ラーメンのスープのような味。そこに中華風の野菜炒めとかまぼこ、太麺を組み合わせるのですが、確かに中国の街場の食堂で食べるラーメンの風情を感じます。

 

「どこに風情を感じるのか、中国に行ったことがないワタシにも伝わるように140文字以内で述べよ」

 

日本のラーメンとの大きな違いは「各パーツの存在感」。あくまで麺&具材&スープのハーモニーを強調する日本風と違い「主食=麺&おかず=野菜炒め&スープを全部ちゃんぽんにして喰らう」というコンセプトが大陸アジアの風を感じます。日本の「丼」とアジアの「ぶっかけ飯」の違いのようなものです(139字)

 

ゆっくりすすって味わう博多うどんと違い、ちゃんぽんは「ガツガツ食べる」のがおいしい。汗だくで食べ終わって「よし!午後も仕事頑張るぞ!」と気合を入れるのがちゃんぽんの正しいあり方だ!というのが僕の勝手な定義。

 

ちなみにちゃんぽんの変種である「皿うどん(汁なしあんかけちゃんぽん)」もオススメ。皿うどんというときつね色に揚げた細麺をイメージしますが、ちゃんぽんと同じ太麺で仕上げたもので、濃厚に中国を感じます(酒のつまみにしても◎)。

 

 

▶夜は「博多ラーメン feat.高菜」でDone(シメ)!

 

しかし何だ。博多は酒飲み&美味しいもの好きには最高の街なのであるよ。

食すなら新鮮な魚介(特に青物や貝類)、鶏肉を使った焼き鳥や水炊き鍋、ホルモンの存在感抜群の焼き物やモツ鍋。飲むなら本格焼酎に日本酒(久留米や佐賀)、最近はクラフトビールも美味い。

 

「ウマい!ヤバい!間違いない!」と盛り上がっているうちに深夜になり、そろそろシメにすっか…というタイミングで見えるのがラーメン屋台の灯り。

 

博多の夜のシメは圧倒的にラーメン。そう結論せざるを得ないほど博多ラーメンは「飲んだ後仕様」にチューンナップされている。

まず麺。たらふく食べた後でもスルルルルっと入る極細麺。そしてスープ。よく飲んだ&眠くて利かなくなった鼻でも嗅ぎ取れる強烈な豚骨の香り。さらに具材は少量のネギやキクラゲなど食べやすく胃に負担をかけないものがチョイスされ、強烈なインパクトのわりには意外にあっさりしているという仕上げになっている。絶妙ッ…!

 

ちなみにカウンターにはゴマとか紅しょうがとかトッピングが置いてあるんだけど、僕のお気に入りは辛子高菜。ピリっとした刺激とクリーミーなスープの風味がよくマッチする。

 

「あれ?博多ラーメンってなんかもうちょいコッテリしてるイメージあるんだけど?」

 

そうね。

それはたぶん「長浜ラーメン」という、コッテリに特化した博多ラーメンの変種のことだと思われる。これはさえりさんのエッセイばりに「深夜に罪悪感を感じまくりたい人仕様」のラーメンで、東京や大阪にある博多ラーメン屋さんはこっちのコッテリな味のものが多い(あっさりだと差別化しにくいからかしら)。

 

さてこれで朝昼晩コンプリート。
次の日ヘロヘロで起床したらば、「ああ、やわらかいごぼ天うどん食べてチルしてえなァ…」と思うこと間違いなし。

 

博多へ行く用事のある皆さま、ぜひ「麺類食い倒れツアー」に出てみてね。

 

それではごきげんよう。