グリーンピース グリーンピース

シュウマイのグリーンピースは何のため?横浜・崎陽軒の「シウマイ」の歴史をひも解いてみた

崎陽軒

グリーンピースが使われている料理といえば、代表的なのが「焼売」。でも、そもそもなぜシュウマイにはグリーンピースが入っている(乗っている)のでしょうか?味や見た目のため?それとも、何か理由があってのことなの?

 

さて、シュウマイといえば定番はやはり横浜・崎陽軒の“シウマイ”。きっと崎陽軒さんならシュウマイの歴史を知っているに違いない!というわけで、横浜にある本社へお邪魔してきました。

 

 

なぜシュウマイにはグリーンピース?

謎を解くために、いざ崎陽軒へ!

崎陽軒本店

今回、我々の疑問に答えてくれたのは、メガネがお似合いの爽やかイケメン、広報・マーケティング部の金田さん。金田さん、どうしてシュウマイにグリーンピースが使われているのか教えてください!

崎陽軒・金田さん

※以下から、すべて「シウマイ」と表記します。ちなみに崎陽軒さんの商品はすべて「シウマイ」!

 

― 早速ですが、“シウマイ”にはなぜグリーンピースが使われているのでしょうか?

 

金田さん:残念ながら日本のシウマイの歴史に関しては記録がないので、正確な理由はわかりません。ただ、一般的に昔からよく言われているのは「イチゴのショートケーキのようにシウマイの上に何か乗せて欲しいとリクエストがあった」「給食を作る際に、数を把握しやすいように目印代わりに乗せた」、「冷凍食品メーカーが見栄えや栄養バランスを考慮して」という説を聞いたことがあります。

 

― 色んな説があるんですね。ちなみに、一般的にイメージされるのは「グリーンピースが乗っているシウマイ」だと思うのですが、崎陽軒のシウマイは、グリーンピースを上に乗せず中に混ぜ込んでいますよね?

 

金田さん:えぇ。弊社のシウマイは、豚肉や干帆立貝柱、玉ねぎなどの原材料と一緒にグリーンピースを練り肉に混ぜ込んでいます。シウマイの味や食感・風味・栄養など総合的なバランスを考慮して、というのがグリーンピースを使っている理由です。あと、グリーンピースの緑色が中国で縁起のいい翡翠の色だから、というのも一理ありますね。ただ、これも開発当時の記録が残っていないので正確な理由はわからないんですよね。

崎陽軒のシウマイ

― なるほど。先日我々が独自で行ったアンケート調査では、2人に1人が「グリーンピースが嫌い」と答えているのですが…どう思いますか?

 

金田さん:グリーンピースがお客様にとって賛否両論ある食材であることは、私も認識しています。

 

― 認識しているんですね。

 

金田さん:実際にお客様からも「シウマイの練り肉に混ぜ込んであるから、グリーンピースをのぞいてから食べるのが大変」といった意見を頂戴することがあります。ですが一方で、「中に混ぜ込んであると、グリーンピースが苦手でもおいしく食べられる!」という嬉しいお声もいただいていて。

 

グリーンピースを好きになってほしいとまでは言えませんが、ぜひ、崎陽軒のシウマイの要素のひとつとして、グリーンピースの味わいもお楽しみいただけると大変ありがたいなと思っております。

 

 

「横浜市民に愛される名物をつくりたい」

シウマイ誕生の歴史

崎陽軒・シウマイ

― 崎陽軒の「シウマイ」へのこだわりを教えてください。

 

金田さん:昭和3年の発売当時からレシピはそのままに、変わらぬ味を守り抜いています。そして今年、発売から88年の米寿の年を迎えました。列車の中で召し上がっていただくことを想定しておりますので、「冷めてもおいしい」「ひと口サイズ」である点が特長ですね。

 崎陽軒・金田さん

― そもそも崎陽軒さんの「シウマイ」は、どうやって生まれたんでしょう?

 

金田さん:元は横浜駅の構内で駅弁を販売していたんですが、東京に近いこともあってあまり売れなかったんです。ほとんどの方が始発駅の東京駅で駅弁を買ってしまいますので。そこで、初代社長の野並茂吉が「だったら横浜にも名物をつくろう!」と意気込んで開発したのが、「シウマイ」だったんです。

 

― 意外ですね!横浜は名物が多いイメージがありますけど。

 

金田さん:当時の横浜は、開港まもなく文化と呼べるものがありませんでした。南京町と呼ばれた今の中華街も数件の中華料理店が並んでいただけで今ほど栄えていなかったそうです。その料理店で「突き出し」として出されていたのがシューマイ。駅で売るには、冷めてもおいしくなければ商売にならなかったため、点心師を招いて1年近く試行錯誤を繰り返し、崎陽軒のシウマイが誕生しました。

 

 

飛行機で空からビラを配る!?

当時の宣伝方法がトンデモなかった

崎陽軒・シウマイ弁当

― でも、いきなり「名物」にはなりませんよね。どうやってPRしたんですか?

 

金田さん:当時としては、一風変わったPR手法を取り入れていました。例えば…飛行機を使って上空から横浜市街に無料引き換え券のビラを配ったり。

 

─ 空からビラ!今では考えられないような宣伝方法ですね(笑)

 

金田さん:当時からシウマイの味には絶対的な自信を持っていて、「一度食べてもらえば必ずリピーターになってくれるはず!」という想いから実行したそうです。発売当初は1日10折ほどだったシウマイの出荷量が、数年後には1,000折を超えるほどになったそうです。あと、「シウマイ娘」も話題を呼びました。

 

─ シウマイ娘? モー◯ング娘。的な…?

 

金田さん:今でいう売り子さんです。横浜駅のホームで赤い服を着たシウマイ娘たちが、手カゴにシウマイを入れて「シウマイはいかがですか?」と、車窓から売り歩いていたんです。それが口コミでどんどん広まって。そこからシウマイ娘が主人公の新聞小説が流行り、それが映画化されて、崎陽軒のシウマイが一躍全国区に。

 

─ すごい!

 

金田さん:今では、総務省の統計で横浜が「シウマイの消費量」1位になるほど浸透しており、お盆や年末年始、運動会シーズンにいたるまで、シウマイを召し上がっていただいています。

崎陽軒・ひょうちゃん

― しょう油入れの「ひょうちゃん」も、マニアやコレクターがいるほど大人気ですよね。

 

金田さん:ひょうちゃんは昨年60歳の還暦を迎えまして、今は61歳です。漫画家の故・横山隆一先生がいろは48文字にちなんで描いてくださった顔が48種類あるんですよ。常温で召し上がっていただく「昔ながらのシウマイ15個入、30個入」「特製シウマ6個入、12個入、22個入」だけに入っているので、ご存じない方もいらっしゃるかもしれませんが、横浜市民の食卓にシウマイと共に欠かせないものです。

 

 

横浜を盛り上げる一員に!崎陽軒の挑戦は続く

崎陽軒・金田さん

― 季節限定商品など、グリーンピースを使用していない商品もありますよね。

 

金田さん:はい。夏季限定の「いかシウマイ」にはグリーンピースではなく、枝豆を混ぜ込んでいるんです。これは、いつものシウマイとは一味違う味わいに仕上げた「冷やして食べるシウマイ」。お刺身感覚でわさび醤油をつけて召し上がってください。

 

― おいしそう!他にも崎陽軒さんが行っている新しい試みはありますか?

 

金田さん:横浜にある崎陽軒本店には結婚式場がありまして。その式場のオプションサービスとして「ジャンボシウマイカット」を行っています。

 

― ケーキカットならぬ、シウマイカットですか。これまた斬新ですね。

 

金田さん:ジャンボサイズのシウマイを新郎新婦でカットしていただくと、中から小さなシウマイがコロコロと出てくるんです。たくさんの子宝に恵まれますようにという願いを込めて。弊社のシウマイを愛してくださる方々に喜んでいただいています。

 

崎陽軒・ジャンボシウマイ

 

― ジャンボシウマイカット、やってみたいです(笑)。では、最後にアマノ食堂の読者に向けてメッセージをお願いします!

 

金田さん:崎陽軒は横浜の地で、真にローカルなブランドを目指し事業を行っており、関東圏以外にお住まいの方にとっては普段手にする機会がないかもしれません。ですが、横浜へお越しの際には、ぜひ旅のお供にシウマイをお楽しみください。弊社のシウマイが皆さまの旅の思い出に寄り添うことができたら、これ以上の喜びはありません。横浜工場では事前のご予約が必要ですが、シウマイの工場見学も行っておりますので、ぜひお立ち寄りくださいね。

崎陽軒・金田さん

― ところで、金田さん自身はグリーンピースお好きですか?嘘はなしですよ。

 

金田さん:「崎陽軒の社員だから」ということを抜きにしても、グリーンピースは好きですよ!

 

― 本当に…?

 

金田さん:もちろん周りには苦手という人もおりますが、私は元々ネガティブなイメージはありませんでしたから。弊社のシウマイは1個に入っているグリーンピースの数がまばらなんですが、まれに3粒ほど入っていると「お、ラッキーだな」とちょっとテンションが上がります(笑)。

 

― なるほど、崎陽軒のシウマイはそういう楽しみ方もできるんですね〜。本日はありがとうございました!

 

「グリーンピースが入っていてこそ崎陽軒のシウマイ」と語ってくれた金田さん。取材後に早速シウマイをいただいてみたところ、グリーンピースの風味が豚肉や帆立貝柱と絶妙にマッチして、旨みがより増している気がしました。見た目も、グリーンピースの緑がアクセントになって食欲をそそります。今回の取材でわかったことは、“シウマイのグリーンピース”に存在意義あり!ということ。ごはんのおかずに、旅のお供に、横浜土産に崎陽軒のシウマイをぜひご賞味あれ。

 

[PROFILE]
金田祐輔さん
1989年埼玉県生まれ。2012年株式会社崎陽軒入社。2015年より広報・マーケティング部に所属。「新たな名物名所を創り続ける」ことを目標に日々の業務に取り組む。同社取締役広報部長を務める「ひょうちゃん」は上司であり人生の大先輩。

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企画協力/崎陽軒