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【第6回】恋を“愛”に変える!出汁力トレーニング味噌汁

味噌汁、飲んでますか? 発酵デザイナーの小倉ヒラクです。

 

オトナになれば、恋愛事情もさまざま。飲みの席やイベントで意気投合して、そのままなんとなく一夜を共にし…というラブ・アフェアーもあるでしょう。朝起きて「ま、なかったことにしよう」ということであればそれでいいのですが、そこは忙しい現代人。仕事や趣味に忙殺されて出会い自体がないこともよくあることですし、そこから始まる愛があってもいいと僕は思うのです。

 

「…えっ?これって、お味噌の話…ですよね?」

 

あ、はい。そうです。お味噌の話だからもうちょっと聞いてね。

さてですね、そんな一夜の思い出を“一生の連れ合い”に変えるには、いったい何が必要なのか。

 

それは、出汁力(だしりょく)です。

 

「一夜の恋」が、「一生の愛」として持続しないのは、基礎体力である出汁力の低下が原因とされています(←発酵デザイン研究所調べ)。朝起きた後、どこかよそよそしい空気で食卓につき、出された味噌汁をなんとなく口にする。この時こそが、恋が愛に変わる瞬間。出汁力が2人の運命の分岐点になるのです。

 

ダシの旨味を手軽かつとことん引き出す

それでは今月の味噌汁レシピ、いってみよう!

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レシピ名:上品な甘味が凝縮した、出汁力トレーニング味噌汁

 

レシピ(2〜3杯ぶん)

味噌:白味噌(熟成の浅い米味噌) 大さじ2.5

ダシ:ダシ用乾燥昆布 水0.4Lに対して5cm角程度 1枚

どんこ(干し椎茸) 水0.4Lに対して約15g(3個〜4個程度)

具材:かまぼこ、三つ葉

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バーン!!(←会議室のドアを開ける音)

「いいかげんにしろ!なんでお前はそうやって王道のチョイスをしない?」

「白味噌をブレンドせずに単独で使うだとッ…!お遊びも大概にしろ!」

 

と、今回も味噌汁業界からのツッコミが入りましたが、僕は、僕を信じている…!

さてそれでは、レシピの解説。

 

◆ダシを主役に、味噌と具材を脇役に

味噌汁の味は、ダシと味噌と具材のハーモニーで成り立っています。
通常ダシは脇役なのですが、今回は主役に抜擢。ダシの味を濃厚に感じる味噌汁に仕上げます。
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◆淡白でじんわり旨い白味噌とかまぼこ

味噌は、関西圏の人にはお馴染みの白味噌。こうじ多め&塩少なめで、短期間で発酵させた、さっぱりした甘い味噌です。
メインの具材は、かまぼこをチョイス。こちらも淡白でやさしい旨味を引き出して、ダシの味わいをさらに引き立ててくれます。

 

それでは、実際につくってみましょう。

最初にお断りしておきますが、今回のレシピは「超お手軽」ではないです。(だいぶハードルは下げていますが)ただ、がんばってこれを作りきれば「ダシがとれなさすぎて震えるコンプレックス」を解消することができます。よっぽどの料理嫌いじゃない限りちゃんとできると思いますので、騙されたと思ってレッツトライ!

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ぬるま湯0.4Lをボウルに入れます(給湯器で40℃くらい)。そこに干し椎茸3〜4粒を入れます。今回は、普通の干し椎茸より小ぶりな「どんこ」を使いました。なぜかというと、あとで具にしやすいからさ!

 

【ポイント】

ボウルに砂糖をほんのひとつまみ入れると、しっかりダシが取れます。砂糖がダメという人は入れなくてもOK。

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ボウルにラップをかぶせ、電子レンジに2分半かけます。すると…

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こんな感じで飴色のダシ汁が!

※通常は時間をかけて水で戻すのですが、今回は高速バージョンです。

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干し椎茸を取り出して、ダシ汁を鍋に移します。昆布を入れ、限りなく中火に近いブルー…じゃなくて、弱火でコトコト10分ほど煮ます。

 

【ポイント】

絶対に沸騰させないこと!焦げた味と臭いが出てきてしまいます。

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10分経って、ダシ汁の色がさらに濃厚になったところで昆布を取り出し、かまぼこと、先ほどレンジで戻したどんこをざく切りにしたものを投入。かまぼこは紅白ありますが、見た目的には紅かまぼこのほうがにぎやかになるのでオススメです。

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2〜3分そのまま弱火で煮込んだら、コンロの火を止めます。そして白味噌を入れてよーく溶かします。最後に三つ葉を生のままトッピングして完成!

 

出汁力が醸し出す、「高貴な家柄」オーラ!

お疲れ様でした。それではさっそくひと口どうぞ。

 

「あ…甘い!旨い!そして何より…上品!てか、むしろ高貴ッ!

 

そうでしょう、そうでしょう。僕らのDNAに刷り込まれた「しょっぱくてコクのある味噌汁」とはまっっったく違う味わいがあるでしょう。

 

干し椎茸と昆布が醸し出す、柔らかくて滋味深いダシの味に、白味噌のさっぱりとした甘みが加わり、かまぼこの上品な旨味と、三つ葉のフレッシュな食感が加わる…。

 

 

関西の貴族が飲む高貴な味噌汁の味、ここにあり。

では話を冒頭に戻りましょう。恋はフィーリング、愛はお家柄なんて言います(←ホントかよ)。そして、毎日なにげなく作る味噌汁にはお家柄が反映されます。

 

かつてフランスの社会学者、ポール・ブルデューが「文化資本」と呼ばれる概念を提出しました。貴族の家には当たり前のように学術本や美術品があるので、その子息は息をするように教養が身に付きます。その結果、知識欲でガツガツしていないのに学識豊かという「高貴なお家柄」が醸成されます。

 

日本においてこの「文化資本」を象徴するのが、味噌汁です(←ホントかよ)。

 

あんなに気さくで情熱的なのに、実は高貴ッ…!

今回ご紹介した味噌汁は、そのようなギャップ萌えを演出し「なんか名家の御令嬢(御令息)とラブ・アフェアーしちゃった…」という状況を作り出します。そして数カ月後には「じゃあまあ、ご両親にご挨拶にでも…」という外堀が固められていくことになります。で、実家にまで行ってしまえば、もう貴族だろうが平民だろうがもう後戻りできないのが人情というもの。

 

恋が愛に変わる瞬間(と書いて「とき」と読む)。それは二人で味噌汁を飲む瞬間(と書いて「モーメント」と読む)なのです。出汁力を鍛えて、運命を引き寄せましょう。

 

それでは次回「いよいよ核心に迫る!大豆が味噌になる理由」でお会いしましょう。発酵デザイナーの小倉ヒラクでした。

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