劔樹人&犬山紙子の「いぬつる家の、どこにでもあるような家族の食卓」

劔樹人&犬山紙子プロフィール

【第14回】主夫に託された水際の戦い。

海老天うどん
劔樹人&犬山紙子プロフィール
劔樹人&犬山紙子
ミュージシャン&エッセイスト
漫画家やミュージシャンとして活動する劔樹人と、さまざまなメディアで執筆業を行うエッセイスト犬山紙子。2014年に結婚し、現在は子どもと3人暮らし。普段は、料理・洗濯など家事は劔、生活費は犬山と役割分担している。趣味はともにゲームとハロプロ。週末の楽しみは、共通の友人を呼んでごはんを食べて過ごすこと。

アマノ食堂をご覧の皆さま、ごきげんいかがですか(つばきファクトリー風に)。

劔樹人と申します。

 

日頃はバンド活動とマンガの執筆をしながら、主夫活動に勤しんでいます。

 

子どもが生まれてからというもの、うちでよくありがちなのが、「子どもが保育園で病気をもらってくると、妻にも感染る」という状況です。

 

「妻にも」というのは、これがもともとの体の作りなのか気合いなのか、私には全然感染らないのです。

 

インフルエンザで保育園も利用できず、二人の面倒を一人で看ることになった時など、こっちも寝込んでしまった方がマシじゃないかと思ったこともありましたが、まさにこれが主夫に託された水際の戦い。

 

寝込んでもやるべきことは消えてなくならないわけで、元気なのは救いです。

これが自分の使命だと思い頑張ることにしています。

 

 

先週、深夜に突然娘が嘔吐。

翌日から高熱が出まして、胃腸からくる風邪だったようです。

保育園も休むことになりましたが、ちょうど長野からおばあちゃんというかうちの母がきてくれている時だったので、色々助けてもらいました。

 

2日も経つと、娘はすっかりよくなったので保育園に行き、おばあちゃんは長野へ帰りました。

すると今度は、妻が同じようなお腹の調子の悪い風邪に。この日はカレーでも作ろうかと思って材料を準備していたのですが、食事は消化のいいものに切り替えることとしました。

 

消化がいいと言えば、やはり“うどん”でしょう!

 

「どんな“うどん”がいい?」と聞くと、「海老天」とのことです。

胃の調子が悪いっていうのに揚げ物食べるの?と思いましたが、本人がそれで元気になるならこの際いいんじゃないでしょうか。

 

私は、料理を作るようになってからも、揚げ物に挑戦したことがありません。

まあ、どうしても台所が汚れやすいのと、油の処理の問題です。

自分の中での「揚げ物はしない」というルールですが、主夫が無理なくちょっと手を抜くための方法だと思っています。

 

うどんの具材

カレー用に用意していた牛肉は甘辛く煮て、野菜もあんかけ炒めに。

3口のコンロをフル稼働させます。

 

海老天うどん

生卵を落として、ネギをのせれば完成。

立ち食いうどんでトッピングしても1000円くらいかかりそうな豪華な“うどん”になりました。

 

海老天を食べようとする犬山紙子さん

「うどん おいしい!」

 

胃の調子が悪い妻はイカ天からモリモリ食べるじゃないですか! これカレーでもよかったんじゃないの!?

 

うどんにつゆを足す犬山さん

しかも気を使ってつゆも薄めにしたのに、容赦無く追加してくれました。

 

娘とカレー

病人が予想外にたくさん食べるので“うどん”がなくなり、娘は予定通りカレーにします。

大人のカレーは食べられないので、アンパンマンカレーです。

 

「アパンマンカアレ!」

2日前は水を飲むのも嫌がったのに、これだけ山盛りのご飯を余裕で食べました。

 

***

 

病気の時に作ってもらう“うどん” by妻・犬山紙子

病気の時って味覚嗅覚共に死ぬので、正直おいしさはそんなにわからないですよね。

 

でも、ベッドで寝ていると台所から「消化のいいものを」と考えながらつるちゃんが料理している音が聞こえてくる、その幸せがおいしさに化けるんですよね。

 

子どもの頃熱で学校を休んだ時、いつもよりお母さんが優しくて、おかゆ作ってくれたあの甘いこそばゆい気持ちがぶわっと蘇ります。

チャゲもこれからそういう日が訪れるんでしょう、つるちゃんの出す台所の音にチャゲも甘い気持ちになるんでしょう。

 

つるちゃんが寝込んだら……“うどん”くらい私も作ろうと思います。

エビ天は買って来たやつだけども……。

 

 

劔樹人

劔樹人(漫画家・ミュージシャン)

[PROFILE]
男の墓場プロ所属。「あらかじめ決められた恋人たちへ」のベーシスト。著書に「あの頃。〜男子かしまし物語〜」(イースト・プレス)、「高校生のブルース」(太田出版)、「今日も妻のくつ下は、片方ない。 妻の方が稼ぐので僕が主夫になりました」(双葉社)。「小説推理」、「みんなのごはん」、「MEETIA」などで連載中。

犬山紙子

犬山紙子(イラストエッセイスト)

[PROFILE]
大阪府生まれ。ニート時代に書いたブログを書籍化した『負け美女』(マガジンハウス)でデビュー。現在はイラスト・エッセイストとして多くの雑誌で執筆。テレビ、ラジオにも出演している。2017年1月に女児を出産。近著にさまざまな生き方の女性たちにインタビューし、自らの妊娠、出産も描いた新刊『私、子ども欲しいかもしれない。』(平凡社)