真野遥の「やさしい発酵図鑑」

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【やさしい発酵図鑑vol.2】実はこんなに種類があった! 麦みそ、豆みそ…種類ごとに楽しめる「みそ」の基本

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真野遥
発酵料理家
ものづくりに興味を持ち、「一番身近なものづくりは料理である」と食の道へ。全国の酒蔵、味噌蔵など醸造所を訪ねて周り、訪問した酒蔵は60件以上。現在は、日本酒に合う発酵料理の提案を中心に、レシピ開発や執筆を中心に幅広く活動している。日本酒と発酵食品のペアリングが楽しめる料理教室も主宰し、参加者数は年間500名以上にのぼる。

 

こんにちは、発酵料理家の真野遥です。先月からスタートした連載「やさしい発酵図鑑」。

今回のテーマは、日本を代表する発酵食品「みそ」です!

 

みそは日本人にとって最も身近な発酵食品のひとつですが、みその歴史や種類について、意外と知らない方も多いのでは? そこで今回は、サクッと読めてしっかり学べる、暮らしに役立つみそのお話をさせていただきます!

 

昔は贅沢品だった?みその起源と歴史

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みそ汁を飲むと、「ああ、日本人に生まれて良かった〜」としみじみ感じますが、実はみそのルーツは中国にあることをご存知でしょうか? みその起源は、古代中国の「醤(ひしお /しょう)」という、大豆を長期間塩漬け発酵させたものだと言われています。

 

日本にいつ頃どのような形で伝わったかは詳しくは分かっていませんが、日本で独自に発展を遂げ、弥生時代に存在した「穀醤(こくびしお)」がみその原型であると言われています。

 

その後、(この原型が伝わって)701年に、当時の法律を記した「大宝律令」に「未醤(みしょう)」という言葉が発見されています。「みしょう」→「みそ」に変化し、時代とともにその使われ方も変化していきました。

 

<みその変遷>

・平安時代:「みそ」が文献に登場。この時は贅沢品

・鎌倉時代:みそ汁の誕生、「一汁一菜」が確立して武士の食事の基本に

・室町時代:大豆の生産が増加。農民にみそ造りが広がる

・江戸時代:庶民の味として定着

 

元々は貴族の味だったみそを毎日のように食べられている私たち。良い時代に生まれましたよね…!

 

種類豊富な「みそ」の分類と特徴

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(左から麦みそ、米みそ、豆みそ)

 

「麹」の種類で分類されるみその種類

 

みその基本の原材料は「大豆・麹・塩」の3つ。蒸した(あるいは茹でた)大豆を潰し、塩と麹と混ぜ合わせて容器に仕込み、熟成させたものがみそです。

みそは、種類が多いことが主な理由で品質に関する基準が設けられておらず、分類における明確な決まりはありませんが、一般的に何の麹を使うかによってみその種類が分類されることが多いです。

 

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日本における生産の割合

日本のみそは約80%が米みそで、全国各地で生産されています。一方、麦みそと豆みそはそれぞれ約5%で、麦みそは九州・四国・中国地方、豆みそは東海3県が主な産地です。残り約10%は、調合みそ(複数の麹を使ったみそ)だと言われています。

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「色」によって分類されるみその種類

 

また、みそは色の違いで分類されることもあります。みそは熟成期間が長いほど色が濃くなり、味も複雑になります。

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みそ汁だけじゃない! みそのおいしい使い方

みそと言えば「みそ汁」が定番ですが、使い道は無限大!

特に、みそはアミノ酸が豊富に含まれているため、肉や魚の臭み消しに効果的なうえ、料理にコクと旨味を加えてくれます。

 

こんな使い方がおすすめ!

1. 漬け込みに…肉や魚の匂い消しに。みそ+スパイスで手羽元を漬け込み、タンドリーチキン風にしたり、 豆腐やアボカドを漬け込めば、ねっとり濃厚な味わいに。

 

2. 隠し味に… ボロネーゼの隠し味にすることでコクがアップします。

 

3. タレに…酢みそにして、旬の食材と合わせれば、おつまみにも!

 

■味わい色々! 種類別「みそ」の使い方

 

種類ごとに違う味の特徴を活かして料理に活用してみましょう。例えばこんな使い方がおすすめです。

 

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色でみそを選ぶ場合は、みそと食材の色を合わせると使いやすいですよ。例えば、白みそにはチーズや酒粕、牛乳など。赤みそはお肉やしじみ、変わり種でチョコレートもオススメです!

 

もちろんこれは一例なので、「どんな料理に合うかな」とあれこれ想像しながら、様々な料理に使ってみてくださいね。新しい「みそ」の楽しみ方を発見できるかもしれません。

 

旬のアジ+好みのみそで作ってみよう!「アジのなめろう」

旬のアジ+好みのみそで作ってみよう!「アジのなめろう」

「アジのなめろう」のレシピ

この時期にぴったりのみそ料理は、「アジのなめろう」です。旬のアジのおいしさとみその風味をシンプルに楽しむことができ、おかずにもおつまみにもぴったりですよ! 本来は、魚とみそと薬味を一緒に包丁で叩く漁師めしですが、私はアジの食感が残る程度にゴロッと粗く刻んで混ぜるのが好み。アジをお酒で和えるのが、美味しさのポイントです。

所要時間
10分
材料(2人分)

・アジ(刺身用)…150g程度(大きめの場合1尾、小さめの場合2尾程度)

・A ねぎ…5cm

・A しょうが…1かけ

・A みょうが…1個

・青じそ…2枚

・酒…大さじ1/2

・みそ…大さじ1(西京みその場合は大さじ1と1/2)

・しょう油…少々

・白ごま…適量

作り方

1

<A>の薬味を全てみじん切りにし、ボウルに入れておく。

2

アジはペーパータオルで水気を拭き取り、5mm幅に切る。酒をふったら粗く刻み、1のボウルに入れる。

3

ボウルの隅にみそ、しょう油、白ごまを入れ、アジとなじませたら、全体を混ぜ合わせる。

4

器に青じそを敷き、3を盛り付ける。好みで白ごまを散らせば完成。

POINT

・しょう油を少量加えることで、味が引き締まります。

・アジを刻む際に酒を加えることで臭み消しになり、ねっとりとした食感に仕上がります。

・生姜は、今の時期は新生姜を使うと爽やかに仕上がります。

 

 

なめろうと相性がいいのは、甘口のみそ。今回は、甘口の九州麦みそで香りよく仕上げましたが、西京みそで上品かつ繊細に仕上げるのもオススメです!

 

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そして、なめろう丼にするのもオススメです。ごはんに青じそを散らし、なめろうを盛り、卵黄を落としてどうぞ!

 

その昔、みそは薬としても利用されていたと言われています。コクと旨みたっぷりで料理をおいしくしてくれるだけでなく、体にも優しいスーパー発酵食品「みそ」。今こそ、みその力を毎日の生活に取り入れてみませんか?

 

\きょうの日本酒/

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一緒に合わせるお酒は、みそに負けない旨味がありつつ、生魚と調和する軽快さを持ち合わせた純米酒がおすすめです。今の時期は、「庭のうぐいす なつがこい」(山口酒造場/福岡県)のような、爽やかな酸味を持つ夏酒と合わせるのも良いですね。

 

**参考文献**

・「みその教科書」(岩木みさき/エクスナレッジ)

・「発酵食品礼賛」(小泉武夫/文春新書)

・「醤油・味噌・酢はすごい」(小泉武夫/中公新書)