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【第28回】寒い秋の夜は、ストーブックキングで楽しむ BOOK & SOUP!

 味噌汁飲んでますか?発酵デザイナーの小倉ヒラクです。

秋がやってきましたね。秋と言えば「食欲」および「読書」というキーワードが思い浮かびます。僕は食も本も大好きなので、このジャンルの異なる2つの行為をいかに美しく連結させるか?というのは人生の大問題なわけさ。

 

そこで。今回は食と読書を秋らしく楽しむための提案をしたいと思います。

題して、ストーブクッキングで楽しむBOOK&SOUP!

 

パスタ本ならぬスープ本!

山梨の山の上にある我が家。自力で改装した築70年のレトロな家にたいした断熱性能があるわけがなく、秋冬のシーズンなると水道管が凍結して破裂したり、底冷えがヒドすぎて腰痛になるなどのハードコアな寒さが到来します。

hiraku_10_01我が家の様子。夏は涼しくていいけど冬めちゃ寒い…!

 

しかも、家の仕切りを壊してリビングを大きな空間にしてしまったので、当然エアコンが全然効きません。すると登場するのがストーブ。我が家は都市ガスが通っていないので石油or木質資源を使ったストーブに頼ることになります。

 

で、こういうストーブって部屋が暖かくなるついでに、コンロとしても使えるんですね。ただ炒め物をするほど高い温度は出ないので、主に煮物に活用することになるわけです。
大のスープ好きであるヒラクとしては、家で時間がある日には、午後のティータイムくらいから材料の仕込みをして3時間くらいコトコトとナイスなスープを煮込んでいくのが無上の喜びだったりするんだな。

 

そんでさ。何時間もじっくりと美味しいスープができるまで、ストーブの前のあったかいとこにイスを持ってきて本を読む。しかもサクッと読める新書とかじゃなくて、内容特濃のクラシックを読む。

 

村上春樹さんがデビュー作『風の歌を聞け』のなかで

 

“本なんてものはスパゲティーをゆでる間の時間つぶしにでも片手で読むもんさ”

 

という台詞が出てきます。ならば僕は、スパゲティーを茹でる10数分のあいだに気軽に読める「パスタ本」の対極をいく、スープを煮込む数時間のうちにひたすら読書に没頭しまくる「スープ本」を提唱したい!

 

時間をかけて美味しくなるスープとは?

それではスープの話に戻ります。

僕の専門である味噌汁は、時間をかけて煮込むのはNG。手早くダシを取り、沸騰したら火を止めて味噌を溶かし、すぐに飲む。インスタントの美学なわけです。

対して食材の味を濃縮していく西洋式のスープは、ある程度長い時間をかけて煮込んでいくことが必須。肉や野菜がホロホロに崩れてドロドロになった時に笑っちゃうほど美味い最強スープができあがるんですね。その時に目指す方向性としては、

 

A:安い肉をひたすら煮込んで価値を爆アゲする

B:ふだん脇役の地味な野菜の価値を爆アゲする

 

あたりを狙うと、落ちこぼれを集めて甲子園を狙う熱血野球漫画のような面白さがあると思われます(ホントかよ)。

 

それではAから説明していきましょう。牛のスネ肉とかはスーパーの特売でめちゃくちゃ安く売ってますが、普通に焼いたり煮たりしただけではカタすぎて、ただの「アゴを鍛えるマシーン」にしか過ぎません。

 

しかーし!このスネ肉のブロックにヨーグルトと塩コショウを揉み込んでラップに包んでしばし寝かせた後に、ホーロー素材の無水鍋で水分を逃さずに煮込みまくっていくと、だいたい2時間経過したあたりからじわじわと肉が柔らかくなっていき、3〜4時間経った頃には口のなかで旨味をほとばしらせながらやわらかく崩れていく殺人的な肉に変貌しているはず。価値、爆アゲ〜!

 

僕がよくやっているテクニックとしては、ビネガーを使うと、イケてる調味料としてスープがさらに美味しくなって最強ですぜ!

 

次にBを説明しましょう。人参や赤かぶ、かぼちゃや玉ねぎなどを細かく切ってひたすら最低限の水を入れて同じく無水鍋で煮込み続けるとドロドロになってポタージュ状になります。さらにそいつをブレンダーにかけると「フレンチ料理店の前菜で出てくる例のスープ」になります。そこに刻んだパセリやサワークリームなどを散らすと「デキるヤツ感」が出てきます。

(ブイヨン入れてもいいけど、人参やかぼちゃだったら素材だけでけっこう美味しくなるよ)

 

「そんなこと言ってもワタシ、飲み会から帰って化粧落とさずに寝落ちするレベルのずぼら女子だし、気になってる男子からディナー誘われちゃったけど、その気があるのがバレるのイヤで行きつけのうどん屋さん指定しちゃうぐらいこじらせてるし…」

 

と料理(&恋愛)スキルゼロの貴女でも、野菜切る→ひたすら煮込むだけだから、絶対できる!女子会に行くのをちょっと控えて、家でスープ煮込んでいるあいだに足の裏のカサカサとかケアしなよ!

 

ポタージュ型以外にも楽しみがあります。それはキャベツや白菜などの葉物をまるごとor半分に切ったものをそのままお湯を張った無水鍋に放り込んでひたすら煮込みまくるまるごとありがた系スープです。

僕のフェイバリットレシピとしては、キャベツまるごとと鶏肉の手羽元、小豆などのビーンズ系と塩コショウスパイスなどを適宜放り込み、ひたすら煮込み続けるコスパ良すぎかつ幸せ度高すぎなありがた系スープがあります。仕込み15分の超手抜きレシピですが、3時間後に信じがたいほどデリシャスなブツが出来上がっています。秋の寒い夜に食べるとほっこりしすぎて心臓すら止まったりしてしまうのではないかと心配になるレベル。

 

AとBのあわせ技を使えるようになると、あなたもスープマスターです。テクはいりません。必要なのは、無水鍋とストーブ(コンロでもいいけど)、そして一緒に食べる相手です(ひとりでスープつくって食べるのはなんか寂しい)。

 

「さ、最後の“一緒に食べる相手”がムズカしくないですか…?」

 

発酵デザイナーセレクトのスープ本リストはこれだ!

それではスープを煮込む数時間のあいだにオススメの「スープ本」を紹介したいと思います。専門書や中世以前の古典を取り上げるとキリがないので、現代文学のクラシックに限定してみました。

※必要スープ数:読了するのに必要なスープの煮込み回数(3〜4時間換算)

 

吉田篤弘『それからはスープのことばかり考えて暮らした』

必要スープ数 ☆

…古典じゃないんですけど、タイトル的には外せない。面白いです。

 

ポール・オースター『ムーン・パレス』

必要スープ数 ☆☆

…書名は中華料理屋の名前。ここでご飯食べるシーンがイイんだよなあ…

 

スコット・フィッツジェラルド『グレート・ギャツビー』

必要スープ数 ☆☆
…超定番。せっかくなら村上春樹訳バージョンでどうぞ。

 

カズオ・イシグロ『日の名残り』

必要スープ数 ☆☆☆

…『私を離さないで』もいいけど、秋の夜長に読むならこっち

 

ミラン・クンデラ『存在の耐えられない軽さ』

必要スープ数 ☆☆☆☆

…人生とは何か?煮込みながら考える哲学的スープ本。

 

ガブリエル・ガルシア・マルケス『百年の孤独』

必要スープ数 ☆☆☆☆☆

…めくるめく読書体験を味わいたいなら。

 

三島由紀夫『豊穣の海』

必要スープ数 ☆☆☆☆☆☆

…全4部あわせて1400ページの超大作!

 

トマス・ピンチョン『重力の虹』

必要スープ数 ☆☆☆☆☆☆☆

…毎日スープ飯したとしても1週間くらいかかるハードコアスープ本。

 

プルースト『失われた時を求めて』

必要スープ数:計測不能

…そこの文学女子の貴女、全巻読みましたか?僕は読めてません。

 

あ、あとコレ忘れてた!

 

小倉ヒラク『発酵文化人類学』

必要スープ数:☆☆
…アタマぐつぐつ煮込んで下さい。

 

それではごきげんよう。

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