小倉ヒラクの「発酵トラベルノート ~旅と醸しのおたのしみ~」

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【最終回】4年間ありがとうございました! やっぱり朝はお味噌汁

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小倉ヒラク
発酵デザイナー
「見えない発酵菌たちのはたらきを、デザインを通して見えるようにする」ことを目指し、東京農業大学の醸造学科研究生として発酵を学びつつ、全国各地の醸造家たちと商品開発や絵本・アニメの制作やワークショップをおこなっている。『てまえみそのうた』でグッドデザイン賞2014受賞。自由大学や桜美林大学等の一般向け講座で、発酵学の講師も務めている。2015年より新作絵本『おうちでかんたんこうじづくり』とともに、「こうじづくり講座」を全国で展開中。著書『発酵文化人類学 微生物から見た社会のカタチ』(木楽舎)が絶賛発売中!

味噌汁飲んでますか?
発酵デザイナーの小倉ヒラクです。

 
えーお知らせがあります。

 
アマノ食堂オープン時から4年間、雨にも風にも負けず更新してきたこの連載もついに最終回です。

 
この4年間、色んなことがありました。僕の人生も激動しまくりでした。

 

・麹づくりを研究しまくり、1000人を超える人に素人でもできる麹づくりメソッドを伝授
 
・趣味の少女マンガウォッチのブログが話題となり、全国の妙齢女子が僕のとこに人生相談をしにくるように
 
・著書『発酵文化人類学』が異例のベストセラーになり、全国各地の発酵文化を巡る旅に出る
 
・海外からのオファーが次々届き、だんだんと活動がグローバル化する
 
・「47都道府県のローカル発酵文化を集める」という壮大な企画を決行。いつの間にか「珍しい発酵なんでも知ってるおじさん」として認知されるように

 

全体的にガラパゴス化がとまらない感じの生き方ですが、毎日楽しく生きています。

 

そんな4年間の記録が、このアマノ食堂の連載なのですよ。半ばライフワークとなっていただけに、ちょっと寂しいぜ(でも物事はいつかキリをつけなければいけないものです)。

 

***

 

思い入れ深い記事をフラッシュバック!

ということで。約60回に渡る過去記事のなかから、思い入れ深いものを振り返ってみようではないか(初期の味噌だけの連載『手前みそTIMES』も含む)。

 

 

味噌汁再入門に、丁寧な暮らしはいらない。

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味噌汁に苦手意識があり、かつふだん自炊しないモノグサな人でも失敗しない! しかもちゃんとおいしい!というレシピを考案しました。楽ちんじゃないと習慣にならないもんね。

 

シンプルさが深みになる。ミニマリスト味噌汁

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ネギのみでつくる根深汁の紹介。謎に音楽レビューみたいな構成になっていて、この頃から「食のコラムのはずなのに何の話をしているのかよくわからなくなる」という独自の芸風ができあがっていきました(たぶん)。

 

飲み会を最高に楽しむためには、「銭湯」で心と身体を整える!

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飲み会にお呼ばれした時は「事前にお風呂に入り、かつ集合時間の前にすでにひとりで飲み始める」というスタイルがお気に入りなのですが、それはなぜか?というあんまり役に立たないコラムです。でもお気に入り。

 

一緒のほうが幸せなのに、あえて分けるというエロス。鯛茶漬けは最強の『逃げ恥飯』だ!

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2016年に大ヒットを飛ばしたドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』をお題に食のコラムを書くべし!という謎でしかないお題に全力で答えた回。僕の数多の寄稿のなかでも屈指の意味不明さが際立っています。

 

なれずしはおじさんの涙の味がする

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滋賀県の発酵珍味、なれずしの味わい方を書いたはずが、おじさんの人生の悲しみしか伝わってこない内容に。なんで僕こんなコラムしか書けないんだろう? 一応、発酵食品の専門家のはずなんだけど?

 

ジントニックを飲めば、バーの哲学がわかる?奥深きシンプルカクテルの真髄

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たまたま入ったバーで教えてもらった「ジン」の奥深さ。そしてそれをトニックで割るシンプルなカクテルは、酒の宇宙を教えてくれる深淵な世界。これ以降、ウチのお酒コーナーには常にナイスなジンが常備してあります。2017年あたりから食文化の専門家としての自覚をもって、ちゃんと役に立つコラムを書くよう心がけるように。

 

ワインにおにぎり? 甲州ワインと和食の異次元マリアージュ

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僕のホームである山梨県、峡東地区は日本一のワインの産地。150年前から根付く地酒の文化は、本場ヨーロッパの人が見たら卒倒しそうな凄まじいペアリングがいっぱいあります。ちなみに僕が住んでいる町の春の風物詩は、一升瓶ワインとおにぎり持って、桃畑でお花見。ガラパゴス食大国、山梨に一度はおいで!

 

全国の日本酒ファンに告ぐ! 夏こそ熱燗が最高な理由。

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ワインも大好きですが、日本酒ももちろん大好き。僕の好きなのは、夏の熱燗。涼しい夕暮れに、テラスで熱燗飲んで、汗をそよ風で乾かしていく…なんてのが最高に乙。冷酒もいいけど、日本酒の醍醐味は燗酒にあり! ちなみに日本酒業界のあちこちから「よく言ってくれた!」と賛辞が相次ぎました。

 

朝ごはんで食の快楽を無限アップデートせよ!

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1日3食しっかり食べると体調壊す虚弱体質、かつ夜はお酒飲むことが多い僕。純粋に食の快楽を追求する機会は朝ごはんです。同じメニューの中で、味噌や米やお茶の質をアップデートすることによって「自分を最大限に喜ばせる朝ごはん」にたどり着くことができるよ。

 

 

やっぱり朝は一杯のお味噌汁!

僕は世界各地を歩いて、色んなものを食べ歩く生活を送っているので、お家にいる時の「いつもの朝ごはん」が大事だなとしみじみ感じます。

 

アマノ食堂の読者の皆さまも食べ歩きが好きな食いしん坊が多いと思うんですけど、色んなものを食べるからこそ「ブレない自分の味の基準」があるといいと思うんですよね。

 

で、それが朝1杯のお味噌汁なわけです。

 

お味噌って、誰でも使うものなのに土地によって味や製法が違うし、さらに家によっても味の好みが変わってくる。甘い、旨い、酸っぱい、コクがある…人によって正解が違う。さらにダシのとり方や具材の組み合わせ方でも味が変わってくる。

 

つまり無限の可能性がある。毎日お味噌汁を作っていると、その無限の可能性のなかから「自分っぽいコーディネート」が決まってきます。

 

これ、「アナタならではの味の基準」。つまり、アナタらしい味覚のこと。
この味覚を確認する習慣をつけると、外で食べるものの選び方や味わい方もいい感じになってくるんじゃないかな、と僕は思います。

 

自分の基準を食べる朝ごはんと、誰かの基準を食べる外食やホームパーティの往復運動を繰り返すことで、食体験のレンジを広げていくことができる。たくさんの情報がある時代だからこそ、まずは自分の基準づくり。

 

楽ちんスタイルでいいので、朝1杯のお味噌汁、自分らしくエンジョイしてください。

 

4年間どうもありがとうございました。
また、どこかで会いましょう。

 

 

それではごきげんよう。