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【第10回】クリスマスディナーは彼の手作りごはんでお願いします

早くも世間がクリスマスムードになってきた。

 

イルミネーションは街のあちこちできらめいているし、お店ではクリスマスソングが流れている。陳列されたスノードームの中ではサンタが微笑みながら、目の前を行き交う恋人たちを見ている。

 

今年のクリスマスは、3連休らしい。恋人たちはさぞかし喜んでいることだろう(他人事感がにじみ出ているのは気のせいではないです)。

 

わたし自身は、実はあまりイベントごとが得意ではない。ハロウィンでコスプレをして街に繰り出したこともないし、花見にわざわざでかけることもあまりない。クリスマスも同様で、「クリスマスだから○○しよう!」と前々からはしゃいで計画を立てるような性格ではなく、割と淡々としている。まぁせっかくだし、ちょっと美味しいもの食べたいかな……という程度。

 

けれど、ここまで街がクリスマスを推してくるなら、理想のクリスマスディナーについてちょっと考えてみたくもなった。

 

本当は彼のサプライズで、イルミネーションを見に行ってそのままちょっとおしゃれなディナーに行って、そこで「はい、クリスマスプレゼント」って微笑んでネックレスを渡してくれるようなシチュエーションに憧れてはいるけれど、今時そんな風に完璧に女の子をエスコートしてくれる男性は少ない。

 

クリスマス直前になって「クリスマスどうしよっか」というLINEが来る…これがよくある展開な気がする。きっと女の子も、今さら旅行とか言っても無理だし、とかなんとか思いながら「おうちで過ごそっか〜」とか「ちょっといいもの食べに行こっか〜」とか答えるんだろう。

 

それに対して男性側は、特になにも考えず「じゃーそうしよー!」とかのんきに答えて、クリスマスがやってくる。彼の職場の近くの美味しいと評判のケーキ屋でケーキを買って、彼女がハンバーグとか作って、お酒と一緒に食べて、クリスマスプレゼントを交換しあって夜を迎える。

 

……よくありそうな展開。

悪くない。全然悪くないけど、今回はこういう結論にさせてほしい。

 

「クリスマスディナーは、彼の手作りごはんでお願いします」

 

***

 

料理を人に振る舞うというのは、結構勇気のいることだ。

 

女性であるわたしでさえそう思うのだから、あまり料理を作らない男性であればなおさら勇気が必要だろう。けれど、普段料理をしていなければしていないほど、このクリスマスディナーの価値も上がる。

 

なぜ「手作りごはん」がいいのか、という問いだけれど、わたしは常々「プレゼント」が嬉しい理由は「時間」をくれたこと、が大きいと思っている。

 

1万円渡されて好きなもの買っておいでよ、と言われるよりも、「これ、気にいるといいんだけど」と5000円のプレゼントでももらった方が嬉しい。

 

自分のことを思いながらプレゼント選んでくれたその「時間」こそが価値を持つのだと思っている。

 

 

料理は、食べてもらうまでにもいろいろな過程がある。(手馴れていないなら)まずはレシピをチェックするだろうし、買い物にも行くと思う。そこで散々「こっちとこっち何が違うの……」とか悩みながら購入して、料理を作っていく。「美味しいかな」とかいちいち緊張しながら作るのは、高級ディナーに連れて行くよりも何倍も時間がかかる。だから、受け取った相手の嬉しさも何倍にも膨れあがる(と、わたしは思う)。

 

料理が「美味しい」かどうかはそんなに問題じゃない。「料理を作ったその気持ちと時間」があれば、百点満点だ。

 

***

 

作るものは、凝ったものでなくていい。ビーフストロガノフとか、七面鳥の丸焼きとか、気合いを入れる必要は全くない。

 

いや、むしろ「やたらと凝る」のはやめたほうがいい。「これ、いつ使うの……」というようなスパイスをやたらと買ったり、聞いたこともない野菜を買いに、普段行かないスーパーまで出向いて材料を準備したりしなくていい。料理のために買ったであろう、ほとんどお目にかからない食材を残されたところで、彼女は困ってしまうだけだから。

 

できるだけ、見たことのある食材と聞いたことのある調味料だけで作れるものを探せばいい。

 

作るのは、簡単なパスタでいいんじゃないか。トマトソースの、シンプルなやつ。

 

いつもよりちょっと早めに帰って、深緑のニットにスキニーでも履いて「おかえり」って微笑んであげるところからはじめて欲しい(服装はただのわたしの好みでした。すみません)。

 

「なんかいい匂いする〜」と、いつもは自分がいうセリフを彼女が言う。「順調ー?」と、体を寄せてニコニコと確認してくる。

 

「なんとか、ね」と微笑み返し、「これ持って行って」とサラダが入った器でも渡してあげるといいと思う。

 

いつも料理をしている彼女なら、一品以上作るのは結構手間だってことをきちんとわかってくれるだろうから、パスタの他にぜひとももう一品は用意してあげてほしい。それがサラダであってもなんの問題もない。

 

「えっ、サラダもあるのー!?」

 

多分わたしだったらこう答えて、「じゃあ、わたしスープでも作るよ」とかなんとか言って、隣で一緒にごはんを作りはじめると思う。ふたりでキッチンに立って、ふたりでこれから食べるごはんを一緒に作る。

 

そうしてふたりで食卓の用意をして、一緒に「いただきます」をする。

 

「おいしい?」

「ん! おいしい!」

 

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ほら、たったこれだけだけど、なんだかとても「いい」気がしてきた。むしろ、高級ディナーよりもこれがいい。ついでにプレゼントもくれて、お手紙なんて書いてくれてたら、もう泣くと思う。OH・ジーザス、ワンダフルホーリーナイトをセンキューソーマッチ間違いなし。

 

 

……ここまで書いて、これを読んだカップルが「今年のクリスマスは、僕が料理作る」と言い出す展開について考えてみたら、猛烈に嬉しくなった。

 

これを読んでいる(クリスマスの予定をまだ立てていないことに気づいた)男性諸君は、ぜひとも彼女にごはんを作ってあげて欲しい。

 

これを読んで共感してくれた(彼氏のいる)女の子たちは、ひっそり記事をツイートして「あこがれるな〜」とか書くといいと思う。もちろん「ごはん作って欲しいな~」と言ってしまうのもいい。

 

ちょっと早いけれど、みんながいいクリスマスを迎えられますように。わたしは、スノードームの中のサンタのように微笑みながら、カップルを見つめておきます。

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