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店主が語るそうめんの魅力とは? そうめん専門店「阿波や壱兆」に行ってみた

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つるりとのどごしがよく、ひんやりとおいしく食べることができる「そうめん」。

今回は、コシのある「半田そうめん」とバラエティ豊かなアレンジメニューが話題のそうめん専門店「阿波や壱兆」のオーナー・田中嘉織さんに、そうめんの魅力や人気の秘訣を伺ってきました!

 

東中野のそうめん専門店「阿波や壱兆」へ!

取材させてもらったのは、東中野で10年以上にわたって愛され続けるそうめん専門店「阿波や壱兆」(あわやいっちょう)さん。

 

店主・田中さんの故郷である徳島県の「半田そうめん」や、徳島の名産品を生かした料理を提供されています。半田そうめんは一般的なそうめんよりも太く、コシのある食感が特徴。

 

「阿波や壱兆」といえば、バリエーション豊かなアレンジそうめん

カレーそうめんにトマトぶっかけなど、そうめんの常識を覆すバラエティに富んだメニューが人気で、中には毎日のように食べにやってくるお客さんも!

 

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田中さんは会社員・専業主婦の経験を経て、飲食店未経験で「阿波や壱兆」をオープンされたのだとか。

まずは、お店を始めた経緯やこだわりについて聞いてみました!

 

“母の味”を受け継ぎ一念発起! 39歳で「阿波や壱兆」をオープン

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──徳島県ご出身の田中さんにとって、幼いころからそうめんは身近な存在だったのでしょうか?

 

田中さん:子どもの頃は、とりたててそうめんが好きというわけでもなく、みなさんと同じように、「夏になると食べるもの」というイメージを持っていました。でも、徳島ではお中元やお歳暮で半田そうめんをやりとりするのが当たり前で、いつも家にありましたね。だから今思えば身近だったのかな……。

 

――田中さんのご実家では、どのように食べていたのですか?

 

田中さん:地元では、太くてコシのある半田そうめんをぶっかけスタイルで食べるのがスタンダード。麺の上には錦糸卵やしいたけの甘煮、刻んだネギやかまぼこなんかをのせて、ちらし寿司のようにして食べるんです。おだしは関西風の薄い色をしていて、最後までゴクゴク飲む。昔は、細いそうめんをつゆにつける食べ方に憧れていたこともありました(笑)。

 

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阿波や壱兆で使われている半田そうめん。一般的なそうめんの1.5倍ほどの太さ!

 

──そうめんに昔からなじみがあった田中さんですが、なぜそうめん専門店を始めようと思ったのですか?

 

田中さん:専門学校への進学を機に上京して、友達に地元の食べ方でそうめんを振る舞ったら「おいしい」と言ってもらえて。「またあのそうめん食べさせてよ」とリクエストをもらうくらい好評だったんです。そのうれしさが原体験になっているかもしれません。

 

それと、もうひとつ。これも専門学生だった19歳の頃で、真夏のすっごく暑い日に渋谷のスクランブル交差点で信号待ちをしていたら、隣に汗だくのサラリーマンがいたんです。その時「この人たち、私のそうめんを食べて、ひんやり冷えたおだしを飲んだらきっと生き返るだろうな」って思ったんですよね。「そういえば、そうめん屋さんってどうしてないんだろう?」「誰もやらなかったら私がやっちゃおう」という気持ちをずっと持ち続け、39歳の時にようやく一念発起してお店を始めました。

 

半田そうめんの特性を活かした「阿波や壱兆」のアレンジそうめん

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ここで人気メニューの「元祖すだちそうめん」(780円)を注文。薄くていねいにスライスされたすだちは、皮ごと全部食べられます! さわやかな香りとほんのりとした酸味が食欲を刺激し、暑い季節にぴったり。あっさりとした味わいですが、コシのある半田そうめんのおかげで食べごたえも◎。おだしは田中さんのお母さんのレシピをもとに作られているのだとか。

 

──本当に、暑くて汗だくの時に飲みたくなる味と、心地よい冷たさです…! 他の日替わりメニューもユニークですよね!

 

田中さん:実はアレンジそうめんは、どうにかお店を続けていくために考えた方法のひとつなんです。お店を始めてから3年ほどは、アルバイトを掛け持ちしながらなんとかやっていたような感じだったので。

 

「飽きずに毎日でも食べに来てもらえるように」と思って、いろいろなメニューを作ってきました。そこから、ありがたいことにメディアで取り上げてもらう機会が増えて、みなさんに知っていただけるようになってきました。

 
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──バリエーション豊かなアレンジのアイデアは、どうやって浮かんでくるのでしょうか?

 

田中さん:私のその日の気分です(笑)。家庭料理と同じような感覚で、身近な情報から得たヒントと、主婦の経験を組み合わせて考えています。ランチの常連さんには、ほぼ毎日来て日替わりのアレンジそうめんを食べてくれる人もいるんですよ。

 

ちなみに、いろいろなアレンジができるのは半田そうめんのおかげでもあります。太麺だから、温かくしても、いろんなトッピングをしても、麺が負けないんです。

 

白ごはん感覚で。毎日おいしく食べてほしい!

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──10年以上お店を続けてこられた中で、改めて感じたそうめんの魅力があれば教えてください!

 

田中さん:そうめんは、1200年以上の歴史を持つ日本最古の麺です。伝統ある手延べ製法で作られていて、保存が効くのも魅力。産地や製麺所によって材料に違いがあったり、個性が表れるのも面白いですよね。

 

一方で、最近ではお中元文化の衰退とともに需要が減ったり、製麺所の跡取り問題など、様々な問題も抱えています。せっかくの食文化がこのまま廃れてしまうのは寂しいので、私としては、そうめんの位置づけをもう少し底上げできたらというか……何もない時に「これでいいか」と食べるものではなく、もっと「そうめんが食べたい!」と思ってもらえるようになればいいなと考えています。

 

──普段何気なく食べていましたが、歴史と伝統が詰まった食べ物なのですね。なんだかありがたみが増してきました!

 

田中さん:夏になると「そうめんは飽きた」と言われてしまうこともありますが、白いごはんのようにおかず、つまりトッピングや味付けを変えれば、毎日でもおいしく食べられます。

 

今後もさらにお店の料理や発信を通じて、そうめんのおいしさや大切さに気づいてもらうきっかけを届けていけたらうれしいです!

 

***

 

 

みなさんも「阿波や壱兆」のひんやり美味しいそうめんを食べて、夏の味覚を味わってみてはいかが?

 

お店のオンラインショップでも、「半田そうめん」や田中さんのお母さんの味を受け継ぐおだしを買うことができます。ぜひチェックしてみてくださいね。

 

 

田中さんのYoutubeチャンネルでは、おうちで作れるアレンジそうめんのレシピが紹介されています。こちらも要チェックです!

 

 

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「イタリアンにエスニック風…そうめん専門店に聞いた!そうめんの茹で方のコツとアレンジレシピ」

 

【教えてくれた人】

田中嘉織さん(そうめん専門店『阿波や壱兆』店主)

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[PROFILE]

「半田そうめん」の産地である徳島県で生まれ育つ。39歳で飲食店未経験から「阿波や壱兆」をオープン。“母の味”を受け継ぐだしの味わいと、コシのある半田そうめん、そして多彩なアレンジレシピが話題となり人気を集める。2017年には書籍『「阿波や壱兆」の一年中そうめん』(文化出版局)を発売。SNSやYoutube等でもアレンジレシピの発信を行っている。

 

【店舗情報】

阿波や壱兆

住所:東京都中野区東中野1-58-11 セリタビル1F

電話:03-3363-7234

営業時間

月~土:11時~22時

日:11時~19時(LO閉店30分前)

木曜定休

※新型コロナウイルスの影響により、営業内容や時間、定休日が変更になっています。詳しい情報はお店のSNSにてご確認ください。

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(文/笹沼杏佳、写真/中村英史)